【第1回】 『濹東綺譚』の舞台を訪ねて〜東向島を散歩

私と同じ名前の荷風さんの代表作といえば『濹東綺譚』。その舞台となった場所を、まずは訪れてみましょう。最寄り駅は、東武スカイツリーライン「東向島」。東京スカイツリー駅から2駅目、昔の駅名は「玉ノ井」でした。駅には、今でも「旧玉ノ井」と表示されています。そう、この「玉ノ井(玉の井)」が『濹東綺譚』の舞台なのです。

東向島(旧玉ノ井)

駅のホームの表示板。東向島(旧玉ノ井)と書いてあります。

駅からしばらく歩いて向かったのは「玉ノ井カフェ.」。かつて大きな色街(私娼街)があったエリア内の大通り(玉ノ井いろは通り)に面した一角にあります。レトロな雰囲気の店内には、永井荷風ゆかりの書籍が多数陳列されていて、手に取って読むこともできます。

玉ノ井カフェ.

「玉ノ井カフェ.」外観。

玉ノ井カフェ.

お店が閉まっているときは、シャッターに描かれた永井荷風さんが出迎えてくれます。

玉ノ井カフェ.

レトロな雰囲気の店内。

荷風ブレンド

荷風さんの著書を眺めながら、「荷風ブレンド」コーヒーとイチジクのケーキをいただきました。
さて、折角なので「玉の井」があった街を散歩してみます。大通りの南側が往時の中心エリア。太平洋戦争の空襲で焼け野原になってしまいましたが、複雑に入り組んだ狭い路地にはかつての街の記憶が刻まれています。「ぬけられます」〜心配せずにどうぞ入っていらっしゃい。路地ごとに掲げられていたらしい案内看板の文句は、一種のホスピタリティだったのでしょうか。

「ラビラント(迷宮)」のような路地

まさに「ラビラント(迷宮)」のような路地。

ネコ

ひと休み中の地域ネコと目が合ってしまいました。

大通りの北側エリアは、終戦後に色街として賑やかになったところ。こちらも今では住宅などが建ち並んでいますが、かつての雰囲気が偲ばれる建物がほんの少し残っていて、過ぎ去りし「昭和」の残影が思い起こされるのです。

「昭和」の残影

玄関の位置や装飾瓦などに、かつての雰囲気が偲ばれます。(この建物は、つい最近取り壊されてしまいました)

「昭和」の残影

別の建物ですが、窓枠のコーナーの装飾が、洒落ていますね。

街が醸し出す〝昭和ノスタルジー〟の雰囲気を味わっていたら、あっという間にお陽さまが傾いていました。今宵は、近くの居酒屋「十一屋」で会社同僚の女子と待ち合わせです。

十一屋

落ち着いた外観。

十一屋

店内も落ち着いた雰囲気です。

十一屋

「酎ハイ」は、新鮮な枝豆やカレー味がユニークなマカロニハムサラダにもぴったり!
地元で「酎ハイ」とか「ボール」と呼ばれ、愛されている焼酎ハイボール。このお酒を飲みながら、会社生活の話題やらグチやら。いつもの話が中心になりました。彼女には、私が今日見た(平成女子には思いもよらなかった)光景や荷風さんのことも話して、結構盛り上がりました。では、皆さんまたお会いしましょうね・・・。

【お店情報】
玉ノ井カフェ
東京都墨田区東向島5-27-4
TEL:080-2107-1016
営業時間:12:00〜18:00
定休日:水・木曜

十一屋
東京都墨田区墨田3-23-17
TEL:03-3611-4881
営業時間:17:00〜22:30 ※併設するお好み焼店は閉店時間が異なります。
定休日:水曜